ビジネスマン格闘技団体 CHANGE

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週刊 CHANGE 2026年3月13日号 CHANGE 代表・菅野和彦に迫る! 後編

週刊 CHANGE 2026年3月13日号
【総力特集】ビジネスマン格闘技団体CHANGE 代表・菅野和彦に迫る!

 

後編:上京、稲盛哲学、そして「稼げない格闘技界」を変える挑戦
全戦全勝、全大会満員御礼。破竹の勢いでアマチュア格闘技界を席巻するビジネスマン格闘技団体『CHANGE』。

前編では、代表・菅野和彦のルーツである秋田県での生い立ちから、全日本プロレス・ジャイアント馬場氏の「堅実経営(馬場イズム)」への憧憬、過酷を極めた高校野球の寮生活、そして大学時代に目覚めたスポーツビジネスへの想いを紐解いた。

続く後編では、いよいよ菅野が社会の荒波に揉まれ、偉大な経営者から哲学を学び、そして「なぜCHANGEを立ち上げたのか?」という核心に迫る。
格闘技業界が抱える「タブー」に真っ向から切り込む、菅野代表の痛快なビジネス論をとくとご覧いただきたい。

■ 第4章:所持金7万円、怪しいアパートからの上京サバイバル

吉井隆志 編集長(以下、吉井): 前編では大学の軟式野球連盟での活動について伺いました。その後、いよいよ社会人で関東へ上京されるわけですが、当時の状況を教えてください。

菅野和彦 代表(以下、菅野): いやぁ、ひどいもんでしたよ(笑)。関東に出てきた時は、知り合いなんてゼロ。全財産はたったの7万円と車が1台だけ。住まいは家賃5万円(水道代込み)の、それはもう怪しいアパートからのスタートでした。

吉井: 怪しいアパート(笑)。

菅野: 隣の住人がしょっちゅう入れ替わるんです。夜逃げなのか何なのか分かりませんが、とにかく落ち着かない(笑)。お金がないから、食べるものは毎日カレーか、激安のピザ食べ放題に1日1回だけ行くという生活でした。

ちなみに、その「1日1食」の生活は今でも続けているんです。南雲吉則先生の「南雲式」ですね。慣れると内臓が休まって、驚くほど健康で頭も冴えるんですよ。自分の健康の秘訣は1日1食ですね(笑)科学的にも良いみたいです。

吉井: 今の研ぎ澄まされた菅野代表のルーツは、その貧乏生活にあったんですね!

菅野: そうかもしれません。当時は生きるために必死で、日雇いのアルバイトを掛け持ちしていました。サッカースタジアムの警備員、夜中の郵便物仕分け、コールセンター、居酒屋の店員……本当に色々な仕事をやりましたよ。

今思えば懐かしいですが、当時は必死でした。でも、あの高校時代の地獄の寮生活の経験があったから、「あれに比べれば全然余裕だ」と歯を食いしばって頑張れましたね。高校時代は2段ベット20個ある40人部屋で(笑)、自由も無く、先輩に奴隷のようなものでした(笑) だから自分はできるだろうという自信はありましたよ。

当時のボロアパートの写真はいつでも見れるようにして初心を忘れないようにしています。

■ 第5章:六本木ヒルズ族の夢破れ、怒号飛び交うドブ板営業へ
吉井: その後、大学を卒業されてIT企業へ就職されます。現在の株式会社GINZA IT SOLUTIONにも繋がるキャリアですね。

菅野: はい。就職活動の時は、「IT企業」と聞いて、当時メディアを騒がせていた『六本木ヒルズ族』のような、イケイケで華やかな世界をイメージしていたんです(笑)。MacBookを片手に、カフェでスマートに仕事をするような。モテるだろうと(笑) 田舎者なので

吉井: 実際はどうだったんですか?

菅野: 蓋を開けてみたら、完全な「ドブ板営業」でした(笑)。OA機器、複合機、防犯カメラ、ビジネスホン、サーバー……そういった社内の通信機器のリースを、中小企業に飛び込みで販売するゴリゴリの営業会社だったんです。100件飛び込んで、テレアポして1日に1件APOが取れるかという(笑)

APOがパンクする0件だと会社に帰れない(笑) 今、フットワークが軽い、すぐに人に会いに行くと驚かれることがあるのですが、完全に新人の頃の癖ですね(笑) でも、アポ=人に会うところからビジネスも始まり、運命が変わっていく。それぐらいAPO=人に会うって大事であり価値のあることだと今でも思っています。

吉井: ヒルズ族からは程遠いですね……!

菅野: 朝の7時過ぎには出社して、ひたすらテレアポと飛び込み営業の繰り返し。社内には常に怒号や罵声が飛び交っていて、売上がいかなければ徹底的に詰められる。信じられないかもしれませんが、1年間の離職率は90%を超えていました。入社した同期が、気づいたらいなくなっているんです。

吉井: 想像を絶するブラック……いえ、厳しい環境ですね。

菅野: とにかく厳しい会社でした。でも、私はそこで「絶対に生き残ってやる」と腹を括ったんです。毎日毎日、数え切れないほどの中小企業のドアを叩きました。社長1人で切り盛りしている町工場、家族経営の小さな商店、急成長中のベンチャー企業……。

あらゆる会社の社長と対峙し、断られ、時に怒鳴られ、それでも食らいついて契約をいただく。
この期間に、社会の厳しさ、ビジネスの泥臭さ、そして何より「経営者の孤独と熱意」を肌で学ばせてもらいました。私のビジネスマンとしての基礎体力が形成された、最も大きく成長できた期間だと思っています。

■ 第6章:京セラ・稲盛和夫氏との出会い。経営者には「闘争心」が必要だ

吉井: その後、独立されてご自身の会社を立ち上げられます。経営者として、菅野さんが最も影響を受けた人物は誰でしょうか?

菅野: 迷うことなく、京セラの創業者である故・稲盛和夫さんです。2013年から、稲盛さんが主宰されていた経営塾『盛和塾』に入塾させていただきました。

吉井: あの名だたる経営者が集う、伝説の盛和塾ですね!入塾のきっかけは?

菅野: 当時、取引のあった京セラの営業担当の方にご紹介いただいたんです。塾生は誰もが知る大企業の社長ばかりで、私は圧倒されながらも、そこで基本的な経営哲学を徹底的に学ばせていただきました。

吉井: 稲盛さんの教えで、特に菅野さんの心に刺さっている言葉は何ですか?

菅野: 「誰にも負けない努力をする」「もうダメだと思った時が、仕事の始まり」という言葉です。これが一番好きで、今でも苦しい時には必ず自分に言い聞かせています。

そしてもう一つ、格闘技団体を運営する上で絶対に忘れてはならない教えがあります。それは、稲盛塾長がおっしゃっていた、「経営者は、格闘家にも勝る『闘争心』が必要だ」ということです。

吉井: 経営者に闘争心、ですか。

菅野: ええ。稲盛さんは常々、「会社を守るため、従業員を守るためには、喧嘩もしたことのないようなひ弱な人間ではダメだ」と仰っていました。どんな困難が立ちはだかろうと、絶対に負けない、這い上がってやるという、格闘家にも勝る野性的な闘争心がなければ、厳しいビジネスの世界は生き抜けないと。だからこそCHANGEには経営者、役職者、若手ビジネスマンのエントリーが全国から集まってきます。

吉井: 2018年には、稲盛会長とお写真を撮られたそうですね。

菅野: はい、都内のホテルで開催された盛和塾の集まりでした。当時、稲盛さんは87歳くらいだったと思いますが、私の顔を見るなり「お前、こんなに若いのに、こんなジジイばかりの所で何をやっているんだ?」というような、面白がるような顔で見られたのを覚えています(笑)。

驚いたのは、そのお年で美味しそうにタバコを吸っていらしたことです(笑)。あれだけの世界的企業を一代で築き上げるには、やはり桁外れの「体の丈夫さ」と「生命力」が資本なんだなと、妙に納得させられましたね。

吉井: 菅野代表は、現在も定期的に勉強会に通われていると伺っています。

菅野: はい。私の中で、馬場さんの「堅実経営(馬場イズム)」と、稲盛さんの「利他の心と闘争心(稲盛哲学)」は、経営の両輪です。これを愚直に実行することこそが、私のビジネスのすべてなんです。

■ 第7章:格闘技業界の「異常性」と、CHANGE誕生の必然

吉井: ここからがいよいよ本題です。IT企業の経営者である菅野さんが、なぜ「格闘技団体」を立ち上げることになったのでしょうか?

菅野:OA機器のリース販売業は大変順調でして今も経営しています。無借金経営で、毎年黒字です。

実は6年ほど前、知人に誘われて「素人の格闘技大会」に出場したのが直接のきっかけです。当時は運動不足を感じていましたし、高校時代の体育会系の血が騒いだというか、純粋に「リングに立ってみたい」という思いがありました。

吉井: 実際にリングに立ってみて、どうでしたか?

菅野: 恐怖もありましたが、それ以上に格闘技は本当に面白かった。全く未知の世界で、殴り合った相手とは不思議な絆が生まれ、新しい人脈も一気に広がりました。「これは素晴らしいコミュニケーションツールになる」と直感したんです。

吉井: しかし、自ら団体を立ち上げるとなると話は別ですよね。

菅野: ええ。格闘技の魅力にハマる一方で、私は経営者の視点で「格闘技業界の構造的な問題」に気づいてしまったんです。

吉井さん、プロ野球選手は、プロになれば「野球だけ」で飯が食えますよね? サッカーもバスケも同じです。しかし、格闘技は違う。名のあるプロ選手でさえ、ファイトマネーだけでは生活できず、他にアルバイトや仕事をして生計を立てている人がほとんどなんです。

吉井: 確かに、プロ格闘家だけで食べていけるのは、ほんの一握りのトップスターだけです。

菅野: 私はここに驚愕しました。そして、強烈な「将来性」と「ビジネスチャンス」を感じたんです。格闘技業界は、まだまだビジネスとして未発展なブルーオーシャンだと。厳しい話ですがその競技で食べなければプロとは言えない、野球上がりの自分はそのように感じました。

吉井: なるほど。そこからCHANGEの構想が生まれたと。

菅野: 格闘技業界の経営は、厳しい言い方をすれば「ザル」です。だからこそ廃業率が凄まじい。選手が体を張って命懸けで闘っているのに、お金が回っていない。

考えてみてください。プロですら他の仕事をしないと食えないのに、試合で鼻骨を骨折したり、眼窩底骨折などの大怪我をしたらどうなりますか? 本業の仕事ができなくなり、収入源が途絶えてしまう。

吉井: 致命的ですね。

菅野: 企業経営者の視点から見ても同じです。「うちの社員が格闘技の大会に出て大怪我をして、月曜日から仕事に支障が出ました」なんてことになれば、会社としては大迷惑です。そんな負の循環が続いている限り、格闘技業界が社会的に認知され、大きく発展するわけがないんですよ。

安全性も怪我をするのは当たり前という風潮が格闘技界にはありますが、私には疑問がありました。 プロ野球、バスケ、サッカーなど怪我をすることはほとんどないのにメジャースポーツとして盛り上がっている。だから、格闘技業界はまだまだ未発展であると感じています。

 

吉井: それを打ち破るのが『CHANGE』だと。

菅野: その通りです。だから私は、2023年にCHANGEを立ち上げました。
コンセプトは明確です。【クリーンなビジネスマンが、純粋に、そして絶対に安全に闘い、翌日の月曜日からは何の問題もなくスーツを着て仕事に行ける大会】を創る。

吉井: 安全性の徹底が、最大のビジネスモデルなんですね。

菅野: はい。プロレベルの高度な技術がなくても、本気で闘う人間の姿は、必ず人の心を打ち、感動させることができます。CHANGEは野球で例えるなら、「甲子園の熱狂」と「大人の草野球の楽しさ」をミックスさせたような空間です。
だからこそ、我々は「プロ以外の興行」にこそ、最大の熱狂とビジネスチャンスがあると確信しています。

■ 第8章:満員御礼の熱狂と、10年後の未来予測図
吉井: 2023年の旗揚げ戦から、ものすごいスピードで急成長を遂げています。

菅野: 旗揚げ戦は、知り合いの選手たちが手弁当で協力してくれて、本当に感謝しかありません。全14試合で、集客は300名程でした。

そこから「この大会は安全で、しかもめちゃくちゃ面白いぞ」という口コミが広がり、第2回大会で600名。3回、4回と確実に集客を伸ばし、直近の5回目の大会では、なんと982名のお客様にご来場いただきました。

吉井: アマチュアの格闘技大会で1000名規模の集客は、完全に異例の事態です!

菅野: もちろん、毎大会ごとに裏側は本当に大変です(笑)。出場選手の安全管理、公平なマッチメイク、徹底した選手フォロー。そして、来場者を飽きさせない実況や音響などの細部へのこだわり……。スタッフ一丸となって必死に走り抜けてきました。

吉井: 最後に、菅野代表が描く「CHANGEの未来」を教えてください。

菅野: まずは、何があってもこの団体を「10年」継続させること。格闘技界の歴史に、CHANGEという強固な杭を打ち込みます。
そして次のステップとして、私と同じ志を持つ「プロモーター」を育成し、CHANGEのフランチャイズ(FC)展開を全国に広げていきます。潤沢な資金繰りを行い、スポンサー企業同士が利益を生み出す交流の場を提供し、「全国の格闘技好きビジネスマンが集まる最強のネットワーク」を創り上げます。

吉井: 格闘技を通じた、巨大な経済圏の構築ですね。

菅野: はい。馬場イズムの「ファンを裏切らない堅実経営」と、稲盛哲学の「利他の心と闘争心」。この二つを胸に刻み、従来の格闘技団体には絶対に成し得なかった、全く新しい熱狂とビジネスの形を、我々CHANGEが証明してみせます。

5月17日のバトゥール東京大会、そしてこれからのCHANGEから、絶対に目を離さないでください!

吉井: 菅野代表、本日は熱いお話を本当にありがとうございました!

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【編集長後記】菅野和彦という「生き方」を振り返って
インタビューを終え、ボイスレコーダーを止めた。窓の外には銀座の街が広がっているが、私の耳にはまだ、秋田の雪の音や、泥にまみれた高校野球の掛け声、そして怒号飛び交う営業現場の熱気が残像のように響いている。
菅野和彦という男を突き動かしているのは、単なる「野心」ではない。それは、幾多の理不尽や逆境を飲み込み、血肉に変えてきた者だけが持つ「深い慈愛」と、それを守り抜くための「冷徹なまでの経営合理性」の融合だ。
彼は知っている。情熱だけでは、人は守れない。 彼は知っている。数字だけでは、人の心は動かせない。
「翌日の仕事に支障がない安全設計」という言葉の裏には、自らが身を削って体感してきた「働くことの厳しさ」への最大級の敬意が込められている。そして、馬場イズムと稲盛哲学という二つの巨星の教えを胸に、彼は格闘技界という「未完の荒野」に、ビジネスマンが命の輝きを爆発させるための、世界一クリーンな聖域を創ろうとしている。
「すげー!」と叫ぶその声は、リング上の選手に向けられたものであると同時に、かつて屋上で孤独に耐えた少年時代の自分へ、そして現代社会という過酷なリングで闘い続けるすべてのビジネスマンへ向けられた、最高の賛辞なのだ。
菅野和彦。この男が創る『CHANGE』は、単なる興行ではない。それは、失われかけた大人の青春を取り戻し、日本を、そして世界を「変える」ための、壮大な社会実験なのだ。
(吉井隆志)

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